年末の時期にお世話になった人への贈り物
お歳暮は、毎年年末の時期に一年間お世話になった人へ贈り物をするという風習のことです。
現在は不景気や伝統的な風習をあまり重視しない人が増えたということもあり件数は減少傾向にあるようですが、それでも毎年師走の頃になると百貨店では大規模なキャンペーンを行っているのを見かけます。
お歳暮の起源は大変に古く、中国の道教の行事から来たものだと言われています。
道教においては旧暦の7月15日を「中元」、1月15日を「上元」、10月15日を「下元」と定めており、この3つの日にはそれぞれを司る神がいるものとされていました。
そこで上記の日には神前にお供え物をしてお参りをするという習慣がついており、これが「お中元」とされるお盆の時期の贈り物の風習へと続いていきます。
お歳暮は中元などの季節行事ではありませんが、日本では新年になると神様が新たに訪れるというふうに考えられてきたため、お盆の頃である中元とお正月の年に二回は家元や本家にお供え物を贈るとして独自に習慣が作られました。
このお中元とお歳暮の習慣はだいたい室町時代くらいまでに宮中など上流階級の間で行われる行事となっていましたが、江戸時代頃から一般の市民でも行う機会が増えていったようです。
お世話になった人にはケチらずよいものを贈ろう
一般庶民の間でも行われるようになったというお歳暮の習慣は、「日本歳時記」という1688年に記されたとされる日本の文化や風習をまとめた文献にも詳しく記録をされています。
そこではお歳暮のやり方について「吝嗇なるべからず」という表現で「ケチらずによいものを贈るようにしましょう」ということを戒めています。
つまりお歳暮というのは普通のプレゼントとは異なり、お世話になっている人に対して感謝の気持ちを込めて贈るものなのだからそこで「安いものにしようか、それとも高いものにしようか」といった迷いを持つこと自体がナンセンスなんだということです。
お歳暮やお中元が最も頻繁に行われるようになったのは高度成長期からで、そうした日本歳時記の記載内容を知っていてかいらずかはともかく、競うように高級品を贈り合うということが実際に多く行われてきました。
会社経営者など人付き合いが多い人になると取引先や部下から数多くのお歳暮が届くため、中にはもらった品物の熨斗を付け替えて別の人に贈るといった方法もされていたようです。
現在ではゴマすりや営業活動としてお歳暮を贈るということが少なくなったこともあり、本来の意味に立ち返ったお世話になった恩師や義理の両親などに贈るお歳暮が増えてきています。
金額的にはだいたい3000~5000円くらいの高価過ぎないものが人気商品となっています。
お歳暮にお返しは不要です
お歳暮として人気がある商品としては、洗剤や調味料、インスタントコーヒーなどの詰め合わせです。
ちょっと奮発をしたものの場合には、数の子やイクラ、有名ブランド牛肉といった高級食材や、有名なお酒といったものが選ばれています。
お歳暮はもともとが神様へのお供え物という意味合いであったことからか、どちらかというと長くそこに残る記念品よりも、使用をして使いきってしまうことができる消費物の方が適しているともされています。
結婚祝いや出産祝いなどでは品物をもらったときにはそのお返しを何らかの形で相手に贈るということがされますが、お歳暮の場合にはそうしたお返しはしなくてもよいことになっています。
ただし受け取った時には早めに電話やはがきでお礼の言葉を伝えるということがマナーです。